
PGⅠ第7回BBCトーナメントレポート
酷寒下の激烈トーナメント

いやはや、寒かった! 尼崎BBCトーナメント開催期間、“最長寒波”とやらが日本列島に到来。全国的にかなりの寒さで、大雪に見舞われた地域もあったことだろう。尼崎もやっぱり酷寒で、4日間いずれも気温は低下。それだけならまだしも、毎日強めの向かい風が吹いた。気温よりもこの風が厄介で、尼崎のピットは2マーク奥に展開しているので、向かい風ということはピットに風が吹き込んでくるということ。低温に冷やされた強めの風にピット内はずっとさらされていた4日間だったのである。なにしろ、2日目以降は安定板使用でレースが行なわれている。水面が荒れるほど強い風が吹き荒れていたのだ。そりゃもう、鬼のように寒いに決まってる!
我々は、まだ防寒着を着用しているからマシだけど、選手はそういうわけにはいかない。もちろんある程度は防寒対策をしているけれども、ボートに乗る関係上、我々よりは薄着にならざるをえない。また、たとえばプロペラを装着したり外したりするとき、どうしても素手でペラやナット類などの金属に触れなければならないのだ。想像しただけでも冷たい! 陸の上でやるならまだしも、係留所にボートをつけた状態でこれをするとき、特に外すときなどは水に冷やされた金属を触るのである。冷たすぎ!
レースではカポックを着用した上に勝負服をまとい、そのうえで全身運動を全力で行なうわけだから、むしろ暑いくらいであろう(レース後の着替えを終えた選手が驚くほど軽装でピットにあらわれたりする)。また、整備室やプロペラ調整室などは暖房が利いていて、そこで過ごす時間もけっこう長い。それでも、彼らはまず己の勝利のため、そして我々の舟券のために、冷えまくっているピットで凍えながら奮闘する。こちらもガタガタと震えながらその様子を見守るとき、ボートレーサーも楽な商売じゃないなあ、などと改めて痛感する次第である。

しかも、この4日間の戦いというのが、ビッグレースでは唯一となるトーナメント戦である。1回戦で4着以下に敗れれば、残りの3日間(節のの4分の3だ)は勝ち上がりとは関係ないレースを走らなければならない(実際は、最終日の選抜戦に出場するための予選や進出戦があるにはある。「シリーズ○○」と銘打たれていたレースだ)。実に過酷であり、そして敗者にとってはモチベーションが難しいシリーズでもあろう。たとえば、初日5R、つまりはトーナメント1回戦の一発目に登場した西山貴浩は、久田敏之の4カドまくりを浴びて大敗。シリーズが始まってものの数時間で残りをいわゆる敗者戦に費やすことが決まってしまった。同様の選手はほかに2人いるわけだが、何しろ西山は1号艇である。1回戦の1号艇は選出順位上位で、基本的にはSG覇者が占める(1位は前年覇者)。西山は昨年のオーシャンカップでついにSGウィナーに上り詰め、この大会においては1回戦1号艇で出場できる栄誉(とアドバンテージ)を得ていたわけだ。それがあっさりと敗退が決まってしまい、気落ちしてしまってもおかしくないところ。実際、そんな思いはあったと思う(その日は以降、やけにおとなしかった)。しかし翌日からの西山は、整備やペラ調整にひたすら奮闘していた。「このモーター、まーったくダメ!(ターンで)横にしか進まん」とぼやきながらも、最終日まで懸命に立て直しをはかっていたのである。結局西山は大きな着を並べまくり、最終日は選抜戦にも乗れなかったわけだが、しかし途中で投げ出す様子はいっさい見えなかった。そして最後の最後になんとか2着をゲット。機力的には厳しかったかもしれないが、また勝利は掴めなかったが、ひとつの成果を残して尼崎を去ることができたのである。
もちろん、そうした動きを見せていたのは西山ばかりではない。尼崎のエース機9号機を引きながら初戦敗退を喫した森高一真も、なんとかパワーを自分に合わせようともがき続けていたし、まさかの1回戦敗退を喫した桐生順平もまた、必死の調整を続けて、3日目には3コースまくり差しで勝利を掴んだ。他の敗者もみな、冷たい風に吹きつけられながら、最善を尽くして働き、戦ったのだ。
トーナメントを走ったレーサーの皆さん、強烈な寒さのなか、本当にお疲れ様でした!(次ページへつづく)
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