
PGⅠ第2回スピードクイーンメモリアルレポート
尊い大偉業

とてつもない快挙! 鎌倉涼のPGⅠ3連続優勝だ。女子PGⅠは年間に3つ。これを一気通貫、同一年度内にすべて勝ち取ったのだから、強烈である。女子限定のSGは存在していないから、こと女子レースに限って言えば最高峰を3つ、立て続けにぶっこ抜いたことになる。このカテゴリの中ではあるが、とんでもない難業を成し遂げたということだ。
戦前、そうした機運がそこまで高まっていなかったのは、今思うと不思議である。スピードクイーンメモリアルが昨年新設されたばかりのレースということもあるのか、あるいは3周走破の最高タイムが選出基準という独特の性格をもつビッグだからなのか。シリーズが開幕してからはむしろ、遠藤エミの女子3冠制覇のほうが強くフォーカスされていたような感覚もある。遠藤は鳴門の評判モーターを引き当てて、得点率トップを快走していたから、より現実味が強かったということだろうか。本誌先月号のスピードクイーンメモリアル展望では注目選手としてイの一番に鎌倉の名前があがっていたというのに、編集長である僕自身も鳴門のピットで遠藤の動向のほうをより注目していたような気がする。鎌倉は得点率3位で準優1号艇を手にしたが、それでも予選トップ通過を果たした遠藤や、結果的に優勝戦を1号艇で戦うことになった前田紗希のシンデレラストーリーが成就するかのほうにより注目は集まっていたように思う。
そもそも、鎌倉はレディースチャンピオンでGⅠ初制覇を果たしたときも、クイーンズクライマックスで夏冬制覇を成し遂げたときも、決して感情を大爆発させたようには見えなかったものだ。もちろん歓喜は見せていたけれども、どこか淡々としながら、嫣然と微笑んでいる、そんな印象が強い。また、女子PGⅠ連続優勝を引っ提げて鳴門入りした際にも、鎌倉はそうしたオーラを溢れさせていたわけではなかった。いつものように粛々と、3連続優勝に前のめりになったり、気合を横溢させていたりというわけでもなく、レース場にやって来た。もちろん威圧感を発したりもしていなかったし、むしろ“女王”の気配を感じさせないたたずまいでもあった。
そうした自然体のようにこちらが受け取るような、そんな立ち居振る舞い。それこそが、鎌倉涼という人の強さなのかもしれない。

この大偉業を達成したレース後も同様だった。もちろん最高の笑顔を振りまきながらも、決して感情を爆発させていたというわけではない。1号艇で敗れた前田を気遣う様子も見せていたし、見ているほうとしてはスペシャルな空間であることを強く感じていたにもかかわらず、鎌倉がそうした空気を醸し出していたわけでもなかった。だからこそ、その柔らかなスマイルはひたすら尊いものと映った。歴史的な瞬間でさえ、凛としつつも穏やかで静かな雰囲気がにじみ出る。ちょっとしたことで一喜一憂して気持ちがかき乱れる当方のような小物にはとても到達できない境地なのではと、少々畏怖した次第だ。
もし8月のレディースチャンピオンでPGⅠ4連続Vを果たしたら。いや、その前にレディースオールスターか。GⅡではあるが、女子ビッグの連続Vが続いたら。そのとき鎌倉がどんな表情を見せてくれるのか、おおいに注目しよう。もちろん丸亀に入ったときから、女王のたたずまいを見逃すわけにはいかない。(次ページにつづく)
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