
SG第35回グランドチャンピオンin戸田レポート
埼玉三銃士の快挙

快挙である。
地元埼玉支部から出場した3人が、3人とも優出。桐生順平、中田竜太、佐藤翼だ。
SGでも、同支部から複数の選手を優勝戦に送り込むのは珍しいことではない。地元SGであっても同様で、戸田では昨年のダービーで桐生と佐藤が優出し、ワンツーフィニッシュを決めている。だが、複数名が出場したSGで、それも3人以上で、その全員が優出とはそうそうお目にかかれないことだ。それが地元SGなのだから、戸田ファンや戸田関係者にとっては最高の優勝戦となったことだろう。
そのとてつもなさを改めて感じたのは、優勝戦が始まる直前のことだ。水面際には、優出している同支部の選手にエールを送ろうとする選手が鈴なりにならんでいた。たとえば、片岡雅裕の優勝を願う森高一真。池田浩二を応援する平本真之や磯部誠。SG優勝戦のピットでは毎度お目にかかる光景だ。しかし、そこに埼玉支部の選手は誰もいないのである。
たとえば、オールスターの優勝戦直前、そこに東京支部の選手がいなかったのは当然のことだった。東京支部から出場したのが佐藤隆太郎だけだったからだ。だが、このグラチャンに埼玉支部からは3名が出場していたのである。その3名がすべて、優勝戦の発走をボートの上で待っていた。それは衝撃的な事実とも言えた。
その3人の活躍ぶりは見事と言うほかなかった。初日から快走したのは、中田竜太だ。中田は昨年の戸田クラシックには出場し、実に不運な目に見舞われている。予選最終日7R、1号艇で1着条件の勝負駆けに臨むはずだったのだが、春の嵐に見舞われた戸田は水面が荒れに荒れ、6R終了後に中止打ち切りとなってしまった。中田は戦わずして、予選敗退となってしまったのだ。昨年のダービーには出場できなかった。桐生先輩と後輩の佐藤の優勝戦ワンツーを、どんな思いで見ていたことか。
そうした鬱憤を晴らすかのように、初戦を3コースまくりで快勝すると、3日目は連勝。予選ラストでまさかの4着に敗れてしまい、得点率トップを明け渡すことになってしまったが、準優はきっちりと逃走。SG初優出を地元で成し遂げている。
佐藤翼は実に安定感のある戦いっぷりを見せた。3日目9Rの3号艇で5着に敗れた以外はオール3連対。1着こそ1号艇時のみだったが、6号艇でもしっかり連に絡んで、準優進出。準優も2着で、昨年ダービーに続く戸田SG連続優出を果たしている。昨年のグランプリ出場からさらに一皮むけたような戦いぶりで、SG制覇が近いことを予感させる優出だったと言っていい。
桐生順平はさすがと言うしかない。5月のGW開催時に苦戦したモーターをふたたび引き、初日は4着4着という苦戦気味の船出。しかし2日目の6号艇では6コースからのまくり差しで1着。その後も整備を重ねて機力向上に懸命な取り組みを見せ、結果、予選は4連勝。準優も逃げ切っているから、都合5連勝を2~5日目にマークしてみせたのだ。戸田SGへの思い、努力、もちろん水面を知り尽くしたその見識、すべてが噛み合って、劣勢機をものともしない活躍を見せたのである。前2回の戸田SG同様、今回も選手代表を務めながらの爆走、ただただ凄すぎる。
ちなみに、優勝戦の桐生3号艇、佐藤5号艇は昨年のダービーとまったく同じ枠番だった。そう、ワンツーを決めた枠番。それを思い出した方も少なくなかったか、③-⑤がやけに売れていたように思えたのは気のせいか。あるいは、3連単②③⑤の埼玉ボックスも思いのほか人気になっていたような。そう、誰もが埼玉三銃士が揃って優出したことに感慨を抱いたし、もしかしたら上位独占もあるかもしれないと期待したことだろう。僕も正直に言うと、頭にチラリとそれが思い浮かんだのは事実。少なくとも、優勝戦の重大なスパイスになっていたのは間違いなかった。(次ページにつづく)
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