
SG第61回ボートレースクラシック節間最新レポート【最終日】
<ピットから>

「わっ、剛さん落ちた、と思ってたら、事故灯がつかなくて」
レース後、西山貴浩が目を丸くして山口剛に声をかけた。4カドから伸びた大上卓人に抵抗した山口は、振り切られた際に振り込んでしまい失速、これが落水寸前だった。
「半分落ちかけたけど、奇跡のバランス感覚で飛び乗った」と山口は笑いながら西山に語りかける。それを隣で聞いていた大上が「すみませんでした」と詫びると、山口は「いや、あれはもう引けんもんな」。大上はさらに頭を下げたが、山口はまるで意に介することなく、大上に笑いかける。仮に落水していたとしても、山口はそんなふうに大上を気遣ったかもしれない。全員が一流のボートレーサー。局面がどういうもので、そこで相手がどう戦うかを理解している。度を超えたものでない限り、戦いが終わればノーサイド。禍根など残すことはないのである。そう、先輩も後輩も関係ない、まさに広島勢同士の真剣勝負だったのだ。

もちろん、勝った峰竜太も全力で逃げた。3周2マークを回ってゴールまで、「この光景を見るのは最後かもしれないと思った。だから、思い出に残るように、何千本のアロハを見ながら走った」と峰。実際にこれが最後とは思わないが、峰は先頭に立った後もさまざまな思いを抱いて疾走していたのである。
ピットで出迎えたのは愛弟子の定松勇樹。他の佐賀勢は山田康二の出迎えに駆けつけていた。峰は定松の姿を認めると、すぐに抱き着いた。定松は準優1着ながら不良航法で賞典除外。もしかしたら優勝戦で戦っていたかもしれないし、その機会を逃した定松の落胆を背負って峰は戦っていた部分もあるだろう。
ヘルメットを脱ぐと、泣き顔があらわれる。そしてもういちど定松と抱き合う。まあ、泣くのは想定済みだけれども(笑)、たくさんの感情が愛弟子の顔を見た瞬間にあふれたということだろう。これで7度目のSG優勝。レース後に泣かなかったのは、3度目の20年オーシャンカップだけだったと思います。不惑を超えても、泣き虫王子!(明日が41歳の誕生日)それが峰竜太らしいSG制覇なのだ。
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