「完勝」

トライアル2ndから出場し、2着、2着、1着で優勝戦進出。もちろん得点トップで、優勝戦は1号艇だ。優勝戦はインからしっかりと速攻を決めて、他を寄せ付けず。堂々の優勝である。桐生順平らしい強さを見せつけた、そんなグランプリと総括していいだろう。
ところが桐生はレース後、「課題の残る優勝」と冷静に語っている。そのココロは、まず自分よりもモーターを仕上げていた選手がいたということ。つまり、決して自身の仕上げに満足していたわけではなく、勝因は1号艇が獲れて、インからレースができたというだけにすぎない、と桐生は考えていたわけだ。
かといって、優勝戦1号艇を手にすること自体がそもそも簡単ではないことで、その点ですでに桐生は強かったと言っていい。ただ、桐生は「運と流れが勝因」とも言ってのける。トライアル2nd初戦は2号艇。その後は、枠番抽選で2号艇と1号艇を引いた。すべてが内枠での戦い。たしかに運が良かったし、流れが良かった。それがなければ1号艇を手にできていたかどうか、そして優勝できたかどうか。桐生はそう冷静に自分と向き合ったのだ。
そのことが凄い、と思った。グランプリ優勝という、誰もが目指し、誰もが欲する瞬間のすぐ後に、桐生はただ満足し、歓喜するのではなかった。そのこと自体、誰もができることではない。喜びにまみれ、浸り、興奮し、美酒に酔いしれ、その翌朝に冷静に振り返ったというならわかる。桐生はそうではなかった。もしかしたらゴールを目指して走っている最中にも、これで満足してはならない、するわけにはいかない、そんなことを考えていたかもしれない。
桐生順平は強いわけだ。そう思わざるをえなかった。そして、やはりこの優勝は強い桐生順平が手にした「完勝」だと思った。桐生がそういうメンタリティを持つ限り、まだまだこの男はビッグになる。令和8年もボートレースのど真ん中で、巨大な存在感を発揮してくれることだろう。(黒須田)
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