
PGⅠ第12回ヤングダービーレポート
歴史を作れ

まずは前田滉のGⅠ初戴冠を最大限に称えたい。ビッグレースの優勝戦としては、なかなか見ることのない大激戦。その渦中に常にいたのが、前田である。5コースから豪快にまくり差した1周1マーク。井上忠政と競り合った1周2マーク。それにより中山翔太に逆転を許してしまったが、離されずに猛追した2周1マーク。そして中山が見せたわずかなスキを逃さなかった2周2マーク。絶対に相手を前に出すまいと意地を前面に押し出す先マイを果たした3周1マーク。結局、この熱闘を中心で作り上げたのは前田滉だった、と言うこともできる。その末に栄光を掴んだのだから、これはかなり価値の高いGⅠ制覇だ。ファンもこの戦いを忘れないし、前田にとっても強く印象に残る優勝となったことだろう。本当におめでとう!
そのうえで、やはり我々が思いを馳せてしまうのは、前田3兄弟によるストーリーだ。一昨年の下関ヤングダービーで、篤哉、滉、翔は初めて揃い踏みを見せた。それ以来となる同時参戦は、最後に3人のなかでは末弟となる滉の優勝という素晴らしいドラマを織りなすこととなった。ならば、次に期待するのは篤哉と翔が、滉に続くことだ。それはタイトル獲得でもいいし、滉がこの優勝で手に入れたSG出場権を3人が揃って手にするでもいい。来年3月の地元蒲郡クラシックで、というのはまだ現実的ではないかもしれないが、いつかSGの舞台で揃い踏みし、そして優勝を争う“最強の兄弟喧嘩”を見せてくれたら最高だ。
篤哉と翔がすごく喜んでくれているのを見て泣きそうになった。優勝後の会見で滉はそう語っている。僕はやがて、兄弟の栄光を嫉妬するくらいになってほしいとも思う。そこまでの存在になったとき、前田3兄弟の紡いでいく物語はボートレースの歴史として語り継がれていくことだろう。(黒須田)
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