
SG第40回グランプリ節間最新レポート【最終日】
<ピットから>

優勝した2人は、決して派手に喜んでみせたわけではなかった。シリーズ優勝の毒島誠は、ピットに帰還する直前に軽く右拳を握りしめて、出迎えた仲間に歓喜を伝えた。しかし、昨年の12R後を思い出せば、その喜び方はやはり小さかった。もちろん、SG10回目の優勝が嬉しくないわけはない。しかし、これはあくまで通過点であり、また本当に欲しかったものは何なのか、ということを表現しているように見えていた。さすがの貫禄を見せつけた格好だが、やはり毒島が本当に輝く舞台は12Rのほうだ。

桐生順平はグランプリ制覇だから、さすがに上気しているようには見えた。しかしそれよりは安堵のほうが強かっただろうか。「1号艇だから舟券の対象になりやすい。それを裏切りたくなかった」という思いが、この百戦錬磨の男にもプレッシャーを与えていたという。どこにいても暑く感じられて、ずっと外に出たいと感じていたほどだという。今日は昨日に比べてずっと気温が下がっていたのに、桐生の感覚に異常を来すほど、重圧はあったというのだ。そのうえで、今回は「運と流れで勝てた」と冷静に振り返る。仕上がりは決して他に勝っていたわけではなく、1号艇を獲れたことが大きかった、すなわち流れが来ていたことが勝因だと語っている。だから「課題が残る優勝」とまで桐生は言った。勝ってなお前を向き、勲章を得てなお上を目指す。強さの源泉はきっと、ここにもある。

2号艇のふたりは悔しさを弾けさせていた。磯部誠は、露骨に顔を歪め、大きな大きなため息をついた。カポックを脱いでいる間も脱力感は止まらず、モーター返納に向かう際にもう一丁、渋面を作った。トライアルからシリーズに回った屈辱、しかし与えられた舞台で本気の本気で優勝を目指した。だからこそ悔いはとてつもなく大きくなる。その様子は、まさしく強者の振る舞いだった。

関浩哉は、決して悔しさをあらわにしたわけではない。しかし、行動の端々で顔が尋常ではなく引き攣っていた。平静に振る舞おうとしながら、それでも溢れ出てしまう感情。メダル授与式に向かうために着替えを始めたとき、毒島がヘルメットやカポックなどを受け取りにやって来ている。その姿を見たとき、関の表情が一瞬だけ湿度を増したように見えた。関もまた、本気で黄金のヘルメットを獲りにいったのだ。それを逃し、優しく歩み寄る先輩の姿を見たとき、関のなかで切ない思いが高まったのかもしれない。もう誰もが思っていることだろうが、この男がSGの表彰式でてっぺんに立つ日は近い。
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