
黒須田守のボートレースと旅打ち酒の日々(2026年11月号)
●8月24日~30日 ボートレース桐生

桐生の夜は早い。やや遅めまで開いているお店もあるにはあるが、数も少なく、また若いお客さんが多かったりして、この8月に58歳になったオッサンとしては少々怯む。今回のメモリアル遠征で、深夜1時までオープンしていて以前から気になっていた「むかしや」さんを一人で訪れてみたら、カウンターがなく、4人掛けのテーブルに通されてやっぱり怯んだ。なにしろ、店内は若い人たちで賑わっていて、オッサンが一人でテーブルを占拠しているのは申し訳なくもある。九州料理がメインのこのお店、辛子レンコンや馬刺しは実に美味しかったのであるが、一人酒ではちょっと通いにくいなあと思ったわけで。

そんなわけで、一昨年のヤングダービー時にお気に入りになった「山利喜」さん、昨年のマスターズチャンピオン時に発見した「湊」さんに2度ずつ、というのが今回の旅打ち酒のメインになったという次第。いずれも24時に閉店、23時頃ラストオーダーというお店だが、すっかり顔なじみになったこともあって、まさに23時ギリギリに顔を出しても快く迎え入れてくれるのが嬉しい。嬉しすぎる。前検日前日に桐生に前乗りし、早い時間帯に山利喜さんに向かうと、扉を開けた瞬間に女将さんが「あら、お帰りなさい」と出迎えてくれて、ちょっと涙目になったほどである。大将がボート好きで、こちらのことをもともと知ってくれていたわけだが、今回も「いよいよSGですねえ~」などと会話を交わしたりして、真夏のビッグラッシュで溜まりに溜まっていた疲れも解けるように流れていった。湊さんの大将は桐生にいながらボートとはまったく無縁で暮らしてきたそうだが、だからこそ興味はあるのか、質問攻めに合う時間がまた心地いい。「桐生でそんなに大きなレースやるんだねえ」というピュアな感心の仕方が、なんとも微笑ましいのだ。



レース場の仕事を終えて、JR桐生駅近くのホテルに戻って酒場のある地域に駆けつけるとすでに23時過ぎ、という日が節間の半分くらい。したがって山利喜さんも湊さんも2度ずつに留まってしまったわけだが、それでも今節の旅打ち酒は悪くなかった。群馬の地酒、赤城山三昧の日々だったからだ。山利喜さんにも湊さんにもむかしやさんにも、当たり前のように赤城山は置いてあった。そして市内のコンビニでも、酒売り場を覗けば必ず売っていた。地方のコンビニにはその地域の地酒をしっかり置いているお店も多いのだが、ここまで出会う確率が高い地酒というのも珍しい。今日は山利喜さんにも湊さんにも行けないか……と2秒ほど落ち込んだら、その足でコンビニに向かう。そこで赤城山に出会って元気復活。日本酒に合いそうな肴を選んで赤城山とともに買い込んで、ホテルの部屋に戻ればもうゴキゲン。翌日のメモリアルの激闘に思いを馳せながら呑めば、いい感じで酔いが回っていくのであった。

来年は桐生でボートレース甲子園が開催される。真夏のビッグラッシュ真っ只中の、桐生遠征となるわけだ。しかし山利喜さんと湊さんと赤城山があれば、日々癒やしの夜となるであろう。あ、桐生のコンビニで赤城山を買い溜めして帰京しようと思っていたのに、忘れてたな……。
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