
PGⅠ第40回レディースチャンピオンin徳山レポート
決意のV

川野芽唯が、前検日のドリーム戦出場選手記者会見で「優勝を目標にして来た」と口にしたとき、只ならぬものをたしかに感じていたのだ。後付けのように感じられるかもしれないが、そうではない。GⅠではなく、一般戦であっても、優勝を目標にしてレース場入りするのは当然のことだ。全選手が優勝したいと考えて参戦しているといっても過言ではない。だが、レディースチャンピオンという女子最高峰の舞台で、あえてそう語るのには意味があるのは間違いない。それは、ある種の決意、ということになろうか。もちろん川野芽唯は優勝候補にあげられるひとりである。ドリーム戦出場なのだから、かなり有力なひとりだ。そうしたなかで、特別な決意をもって徳山にやって来た。川野がこれまでの女子ビッグ以上に特別な思いを抱いている。そんなことを漠然と感じていたのだ。
現在の女子戦線において、主軸を成すのは100期台前半の選手たちだ。遠藤エミが102期。守屋美穂が101期。小野生奈が103期。浜田亜理沙が104期。渡邉優美が105期。PGⅠ3連覇の偉業を果たした鎌倉涼や平高奈菜が100期で川野の同期だ。思えば、このなかで最初にタイトルを手にしたのは川野である。15年クイーンズクライマックスでの優勝。ここに98期の平山智加を加えるなら、彼女が先に戴冠を果たしてはいるが、いずれにしてもこの世代ではかなり早くから結果を出したのが川野である。
しかし、その後の川野はビッグ戦線ではなかなか勲章を掴んではこれなかった。その間に、先に名前をあげた選手たちは数々の実績を積み上げていった。川野が後れを取ったような感覚になっていたとしても不思議ではないだろう。そうしたなかでの転機は、昨年来、自分がボートレースを好きなのだと自覚したことだと、優勝後の会見で明かしている。愛弟子である大山千広が戦線復帰する前、一緒に練習した後に「どれだけボート好きなんですか」と言われた。昨年お盆開催で節間7勝をあげて予選トップ通過を果たし、優勝戦1号艇を手にしながら、仲谷颯仁にジカまくりを浴びて敗れた。それらが川野を覚醒させ、意識を変えさせた。そう、川野のなかでボートレーサーとしての何かが変わったのだ。
そうしたことが、川野に優勝を強く意識して徳山に乗り込ませたとするならば、Vゴールを決めてピットに凱旋したときに見せた涙は、あまりに重い。それはこの約11年の間に川野が時に苦しみながらも重ねてきた努力や思考の結晶だからである。そしてそれは、なかなか大きな結果を出せなかった、そんな呪縛から解放された証しだ。この優勝は、川野芽唯をさらに巨大な存在にさせる契機だったとしても不思議ではない。(黒須田)
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